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MS工法FAQ のバックアップ(No.2)


MS工法に関する、よくある質問と答えです。他にも質問したいことがあれば、お気軽に「お問合せ」ください。

 
 
 

 
 

設計に関する事項

溶射皮膜された部材にステンレス製のボルトを使用することは*1、問題になりますか。

異種金属の接触で電蝕がおきますが、ステンレスは鋼であるため溶射皮膜との間に犠牲陽極作用が働き、ステンレスを保護します。ただし、環境(塩素混在)によりZn・Alの溶出が早くなる傾向があり、基本的には絶縁することが必要です。

亜鉛めっき上への粗面形成材の塗布は、付着力に問題はありますか。ブラストなどの処理が必要ですか。

亜鉛めっき面に対し粗面形成材は問題なく付着します。ただし、亜鉛層が酸化して白錆*2が表面にあるなど粗面形成材の付着を阻害するものがある場合は、素地調整を行い、表面を清浄にする必要があります。また、白錆が生成している劣化亜鉛めっきは導電性がないため、表層の清掃だけでなく十分に研削して導電性の確認をしてください。

既設橋梁に適用する場合の注意点はなんですか。

既存橋梁への施工条件には、次のようなことがあげられます。

  1. 既設鋼桁の素地調整ができること
  2. 作業環境内に引火するものがないこと
  3. コンプレッサーの稼動音が許容できること
  4. 作業空間は現場塗装作業空間があれば、ほぼ施工可能

ただし、狭隘部など溶射ガンが十分に使えない箇所は、事前検討が必要です。

上塗り塗装を行った場合、塗替えのスパンは上塗り塗装の耐久年数で決定すると考えてよろしいのでしょうか。

意匠上では、上塗りの耐久年限が塗替え周期となりますが、防食上は溶射皮膜の耐久性能に依存します。

 
MS工法による施工
 

施工に関する事項

粗面形成材塗布後から溶射までの間隔は、どの程度必要ですか。

粗面形成材と常温金属溶射の最短時間は、1時間です。ただし、施工条件として粗面形成材が溶射熱で劣化しないように適正な施工条件の管理が必要です。適正な溶射品質を確保するために、標準仕様として24時間以上を提案いたします。

輸送時などにキズがついた場合の補修方法はありますか。

損傷部をグラインダーなどで削り取り、再度、溶射を工程どおり施工すれば対応できます。

常温金属溶射にJIS方法とMS工法との施工に違いはありますか。

従来工法(通称JIS工法)と常温金属溶射法の違いは、まず第一に素地鋼材と溶射金属を密着させるための粗面処理方法が異なります。従来工法では、ブラスト処理により溶射金属が適正に密着する粗さを鋼材自体の表面に付けます。常温金属溶射法では、溶射金属が適正に密着する表面粗さを粗面形成材を吹付けることによって鋼材表面に作ります。
第二は、溶射材料となる亜鉛とアルミニウムなどの混合比率の違いです。従来工法では、亜鉛またはアルミニウム金属を単独で用いたり、Zn85・Al5合金*3やAl95・Mg5合金*4が使用されています。
常温金属溶射法では、亜鉛とアルミニウムを質量%で72:28、容量%で50:50の比率のみを適用しています。これらの溶射金属を溶融させる熱源は、従来工法では電気(アーク)、ガスの両方が用いられ、常温金属溶射法では電気(アーク)のみを用います。また、溶射装置や溶射ガンの構造も利用する熱源や溶射材料によっても異なります。

常温溶射を行う上での安全管理項目を教えてください。

粗面化処理と封孔処理工程では溶剤を使用します。溶射工程では溶融された金属が火花状で噴射され、火気使用と同様の状態が発生します。したがって、次のような安全対策が必要となります。

  1. 溶射工程と溶剤使用作業の分離*5
  2. 溶射工程の金属粉・ヒューム対策*6
  3. 溶剤使用作業での防毒対策*7
  4. 作業環境対策*8
 
常温金属溶射システム「MS工法」の溶射作業
 

性能に関する事項


*1 イオン化反応
*2 亜鉛酸化物
*3 質量%で85:15
*4 質量%で95:5
*5 火災対策
*6 作業者・管理者の防塵・防毒対策、作業者は送気マスク使用、管理者は防塵防毒マスク使用
*7 防塵防毒マスク使用
*8 高所対策等